Fabric 45 by Omar-S - Detroit
デトロイトテクノ、というかテクノ自体があまりよくわかってないんだけど、このデトロイト出身のテクノアーティストと呼ばれるOmar-SのミックスCDはけっこう気に入った。
ぼんやりしたパイプオルガンの上をピコピコ音とテレビゲームのSEのサンプリングが遊びまわる "Strider's World" や、デトロイトファンクを彷彿とさせるねちっこいパーカッションを軸に据えたミニマルなテイストの "Oasis Four" から "Crusin Contant" への抑制した流れなど、序盤から飽きさせない。
こもったハイハットとピコピコシンセの掛け合いが躍動的な "Oasis 13 1/2" ではピアノのフレーズを出したり引っ込めたりするのが心憎い。結局不完全燃焼のままフェードアウトしていくのには笑ったけど。
そしてこのミックス1番のハイライトは、ノイズじみた不規則なシンセが印象的な "Simple Than Sorry" を露払いに幕を開ける "Psychotic Synthesis" になると思う。キックとハット以外の音がなくなって訪れるつかの間の静寂のあとシンセが入ってくる瞬間にはアガらざるを得ない。
"The Maker" や "Set Me Out" でサンプリングされているソウルミュージシャンの歌声はちぐはぐで所在なさげに響くけど、それゆえに感傷的で良い。
アタマでも書いたとおり、あまりダンスミュージックに馴染みがないので、こういうシームレスなミックスCDはあまり好きになれないというかそもそも手を出すことも少なかったんだけど、この作品は展開がうまく冗長と感じることがほとんどなく楽しめた。
それがFabricという老舗のなせるワザなのか、すべて自作の音源を使用してるからこそできた産物なのかはわからない。ただこれをきっかけにミックスCDやmixcloudの音源にも少しずつ手を出していこうかなって気にはなった。