劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [後編] 永遠の物語


アニプレックスの商魂に水平チョップ食らわしつつ後編も見てきた。特典のフィルムは案の定残ってなかったけど、引換券もかわいいしハズレのフィルム当たったら泣くに泣けないしちょうどいい。

後編は9話から12話を2時間足らずにまとめるということで、前編より余裕があるのかなと思って見ていた。確かに前編のようにもったいないと感じるような大胆なカットはなかったけれど、結果的にTV版の再放送を劇場でやった感が前編以上に強かった。
もちろん随所に新しいカットや修正は大量に織り込まれているとはいえ、変身シーン以外の新規絵がことごとく気に入らなかったこともあり、退屈とは言わないまでもわざわざ劇場に足を運んでまで見るべきかというと、うーんって感じ。
オクタヴィアちゃんと杏子が相打ちになったあとに、ほむらとキュウべえが対話するシーンの背景が、荒涼とした墓地に変わりBGMも新調されていて1番印象的な新カットだったけど、正直間延びしているように感じた。
こうやって修正された絵を見てると、TV放送の殺風景な背景のほうが作風に合ってた気がする。というより、個人的にはむしろその無機質さと萌え絵とのコントラストを大きな魅力として捉えていたことを改めて認識させられた。

あと、10話にあたるエピソード終了後にコネクトが流れたとき、ああこれってやっぱりTV版の視聴を前提に作った映画なんだな所詮はファン用か、と思ってちょっと冷めてしまった。
だって映画の途中でいきなりテーマソングじみた音楽が独立した映像と一緒に流れてくるなんて、TV版を見てない人にとってはどう考えても唐突で不自然だし。ほむらの今までの時間軸の生活や戦いを流すとかならまだ良かったと思うんだけど。まあそれはそれでダメか。

それと、OPの映像といいここで流れたコネクトの映像といい、ほむらとまどかの特別な関係性を前面に出しすぎでちょっと辟易する。言葉を選ぶのめんどくさいから言ってしまうと、百合好きに媚びてんじゃないのと思ってしまう。
ルミナスの頬よせて乳繰り合ってるのはまあいいとして、コネクトのラストカットで他の3人を消したのは特に解せない。まどかが全ての魔法少女の希望を肯定して、無駄じゃないといって概念に昇華したプロットから考えても、ここで3人を切り捨てるのはありえない。自分がTV版で特にすばらしいと思った演出だからこそ、こんだけ突っかかるっていうのもあるにしても。

前編では劇場の大画面と音響が元の作品をより圧倒的なものに押し上げている瞬間もいくらか見られたものの、後編ではほとんど見られなかった。初回のまどか魔女化くらい。
ほむらVSワルプルギスの戦闘シーンは、もともと1番好きなシーンだったのでかなり期待していたんだけど、そのハードルの高さもあってか期待を裏切るものではなかった。
もちろん決して悪いわけじゃなくて、立ち込めるスモークの中、ワルプルギスが姿をあらわすやいなや無双コンボのごとく重火器を独創的にぶっ放しまくる流れは最高だった。ただTV版とあまり変わらないなという印象で。
でも、この場面でTV版と大して変わらないなと感じたことはつまり、音響とか無くてもあれだけの迫力を出せるTV版の演出がそれくらい素晴らしかったということの証明とも言える。

結局のところ、ほむら回想後に無理矢理コネクトを流す構成が示しているように、TV版が完成品にして最も優れていることには疑いなく、修正点に価値を見出だせるか、あるいは盲目的に受け入れられるファン以外にとってはこの劇場版はあまり出来のいいものとはいえない。なにをいまさらって結論ではあるけれど。

新作の予告も流れていて、少ない情報量から判断するのもアレだけど、正直OVAみたいな雰囲気が漂っていたのであまり期待できる感じではない気がする。まあでもなんだかんだで多分見に行きます。