最後はキスで終わってミル貝

今週から新しい環境になって、たぶん5年ぶりくらいにまともな人間らしいサイクルを生きている。果たしてこのまま社会復帰できるのか。


通勤に2時間くらいかかるから、電車乗ってるあいだはずっとiPodで音楽を聞いてる。本当は本とか読んだほうがいいんだろうだけど、耳にイヤホン突っ込むほうが気楽なのでついそっちに流れてしまう。


今週よく聞いたのはこの2枚。
Justin Timberlake - The 20/20 Experience

Justin Timberlakeの新譜はシングル曲以外つかみどころがないんだけどけっこう繰り返し聴いてる。トレンドにきっちり目配せしつつも、安易さやあざとさとは無縁の洒脱なスクリューを取り入れた“Suit & Tie”は聞くたびに感服させられる。酩酊感を出すためじゃなく展開のメリハリを増すためにスクリューを使うっていうのは個人的にコロンブスの卵だった。

レトロソウルの風味は確かに色濃いんだけれど、安易なリバイバルとはまったく別物の手の込みようからは、並々ならぬプライドとこだわりが感じられる。


小松未可子 - THEE FUTURES

小松未可子のソロデビュー作は予想を裏切ってけっこう良かった。同時期に出た花澤香菜のクソみたいなアルバムと比べてるからちょっと下駄を履かせてるところはあるにしても、キングレコードの安定感が遺憾なく発揮されてる。

特にバラードにおける抑制の効いた儚げな歌い方がとても素晴らしい。小松の低い声質はディレクションによっては、“情熱”あたりに顕著な粘っこいしつこさが強くなりがちなんだけれど、“ソラウミ”の語りかけるような優しい歌声はこのアルバムの最も大きな魅力であり発見だと思う。

そしてなんといっても“おすしのうた”だ。
“LAKE LIKE LIFE”の余韻が残るなか、緊張感から解き放つようにアルペジオが流れ出す瞬間はいつ聴いても涙が出そうになる。アップテンポのギターロックでありながら、ファルセット気味の軽やかな歌声を乗せることで、高揚感と切なさを驚くべきバランスで両立させている。こんなバカみたいなタイトルと歌詞の曲で泣きそうになるなんて、どんだけ心弱ってんのって感じだけれど、ふざけた歌詞もこの曲の魅力である無邪気な軽快さに一役買っていて、なんだかんだでよくできてるなと思わされる。



もともと音楽に対する処理速度が落ちてるなーって思うことが増えてたうえに、環境が変わったこともあって、しばらくはちゃんと聴くのも難しそうだから、今年はいつもより枚数控えていくことになりそう。

あと最近はCD買うまえに必ずiTunesとかで試聴するようにしてたんだけど、試聴せずになんとなくアルバム買ってちゃんと聴く方が楽しめる気がしてきたから、みんなが褒めてるやつとかもともと好きなアーティストの作品をなにも考えずに買ってみるやり方にシフトしようと思う。


とりあえず来週からはお客様期間も終わって、上司に怒られることも出てくるだろうから、心が弱ってきたときの拠り所にできるような音楽に出会えればいいなって。そんな感じ。