ラブライブ! The School Idol Movieを見た

背景

アニメは総じて箸にも棒にもかからない出来だったんだけど、2枚目のベストアルバムを聞いてると案外曲はいいの多いことに気づいて、ラブライブへの好感度がちょっと持ち直していた。
あと、目に入る評判がポジティブなものが多かったり、そういえば2期ラストの穂乃果の独白は良かったよなってことを思い出したりして、ちょうど時間が空きそうだったので見た。

良かったところ

  • μ'sの葛藤
    ニューヨークで迷子になって、非実在高山みなみにホテルまで送ってもらったあと、マイクケースを持つ穂乃果の影が十字架になってる(地面から後ろ姿にパンするカメラワークでわざわざ強調してる)ことが暗示するように、帰国したμ'sを待っていたのはファンからの活動継続への期待という重い十字架だった。
    僕はアイドル界隈には疎いのでよくわからないけれど、スキャンダルが露見したら丸刈りにされたりとかされてるのを見てると、ファンからの期待ってたぶんすごい圧力なんだろうなということは想像できる。ラブライブではそんなゲスいファンはもちろん出てこないけれど、グループを解散するという自分たちの意思と、それに反するファンの期待のどちらを優先するかというのは、わりとシビアな選択のように見える。「自分の意志」と「周りの期待」の二項対立はアイドルに限ったことじゃないので、このテーマ設定は入り込みやすくて良かった。
    結果的には、彼女たちは自分の意志を優先させて、周りの期待については次世代のスクールアイドルに引き継ぐという選択をとったわけだけれど、妹組に託すならまだしも全国から集った有象無象のスクールアイドルに丸投げするのは無責任というか、たぶんこいつら期待に応えられないだろうなーということは思った。期待に応える責任を次世代に引き継ぐって選択肢は全然アリだけど、せめて信頼できる次世代を選ぶ責任は果たしてもらわないと、ただの逃げやんってなる。

  • 穂乃果へのフォーカス具合
    全体的に演出は気に入らないんだけれど、穂乃果が無言で物思いにふけったり内面との対話に勤しんでるときの演出はわりと好き。アキバライブ直前の唐突な花びら演出も僕はわりと好きだった。たしかに意味はわからんけど。
    要するに僕が言いたいのは、セリフ回しとか演技が全部気に入らないので、それらを必要最低限にしてもらえればかなり良くなるのではということです。

  • Angelic Angel

    久しぶりにいい曲がきた。2時間近くの本編でここが1番テンション上がった。ギターポップっぽいフレーズとピアノに、アニソンのいなたさを加えててバランスがとれてる。マイナー調の落ち着いた印象で、ギャンギャンうるさい曲とくらべてメロディの良さがよくわかる。ただこういう曲をギラギラの演出でやるあたりやっぱ趣味悪いなとは感じる。

悪かったところ

  • それ以外全部
    ラストの曲の歌詞にキャラ名を入れ込む演出が特に最悪だった。今どき恥ずかしげもなくクライマックスで使われてもという感じ。ニューヨークってアキバと似てるよね〜それわかる〜の流れもキツかった。
    テレビ版のときからちょくちょくあった非現実感というか妄想感がだいぶキツくなっていて、アキバのホコ天を埋め尽くした何千人のスクールアイドルが、全員でプログラミングされた動きをカクカクこなしてる場面の現実離れした不気味さがすごかった。京極尚彦がキメてるのか花田十輝がトんでるのかそれとも全員ラリってるのか。

まとめ

良かったところと悪かったところが完全に釣り合わないので、金と時間をドブに捨ててでも流行りに乗りたい人以外は見なくていいと思います。