Take it to the house, kid
2019-2020シーズンのNFLも先週のスーパーボウルで幕を閉じた。
前回の歴史に残る塩試合と比べて、試合展開はそこそこ盛り上がったし、パトリック・マホームズの活躍はプレイオフ全体含めた世代交代をいい感じに総括していたと感じる。
試合について語るには知識がなさすぎるので、試合開始前に流れたNFL100周年のCMについて書き残そうかと思う。
去年のNFL100周年を記念するCMも、何度も繰り返して見てしまうくらい好きだったんだけど、今回のCMはちょっと泣きそうになるくらい感じ入ってしまった。
往年の名選手、現役のスタープレイヤーが何人も登場して、NFLチームを持つ都市を横断しながら会場のマイアミへとたどり着く。
今まで積み上げてきたものや現在進行形で築かれていくレガシー、そしてそれを引き継いでゆく未来の全てにリスペクトを感じさせる、本当によくできたCMだと思う。
ラストに子供達が実際のスーパーボウルのフィールドに走りこんでくるっていう演出も気が利きすぎてる。
ただ、自分がNFLちゃんと見初めて1,2年のにわかで、こいつ誰やねんみたいな人が多かったので、出演者をメモがわりにまとめておく。
主役の子供はバンチー・ヤングというロサンゼルス出身の12歳の少年。既にメディアでも特集されていて、その筋では有名な子らしい。父親がラバー・ボール(日本でいうと亀田兄弟父)感があって若干ネタにされがちっぽい。
このCMのキーワードととも言える "Take it to the house, kid" を最初に発したのはジム・ブラウン。クリーブランド・ブラウンズでフルバックとして活躍して、歴史上最も偉大なフットボールプレイヤーとも言われるおじいさん(83歳)です。
ちなみに "house" はアメフトのエンドゾーンを表すときにも使われる単語で、前述のセリフは「エンドゾーンまで持っていけ=タッチダウンしろ」という意味にも取ることができますらしいです(るーりー語)。
その次に出てくるトラクターに乗ったレッドネック感満載の人はゲーム実況者のティムザタットマン。めちゃくちゃ選手っぽいくせにいきなり選手ちゃうやつ出てきてわろた。彼はThursday Night Footballでも企画をしてるっぽいですが、前回のCMでもプロゲーマーのNinjaが出演してたので、向こうではゲーマーのポジンションが思ったより高いのかもしれんなと思いました。パッカーズのヘルメットをかぶった子供が映ってるので場所はグリーンベイあたりでしょうか。
バンチーはそのまま走り続けて次の都市へ。店から出てくる子供のユニフォームがベアーズっぽいからシカゴかな?
次にたどり着くのはロサンゼルス。現在建設中のSoFiスタジアムの工事現場には、ここをホームとする予定のラムズとチャージャーズの選手が何人か出てきます。
ちょっと手伝って!と言われてブルドーザーを人力で動かしてるのは、アーロン・ドナルド(ディフェンシブタックル/ラムズ)とジョーイ・ボサ(ディフェンシブエンド/チャージャーズ)。「プロがやってるだけやから真似すんなよ」みたいなテロップがじわじわくる。
「あいつらいっつもカッコつけようとしよる」「まあやらしといたれや」みたいな会話をしてるのはダーウィン・ジェームス(ストロングセーフティ/チャージャーズ)とジャレン・ラムジー(コーナーバック/ラムズ)。工事現場用のヘルメットがそれぞれのチームのロゴ入りなのがシャレてますね。
続いてサンフランシスコ。ジョー・モンタナ、スティーブ・ヤングという元49ersの殿堂入りクオーターバックとともに現49ersクオーターバックのジミー・ガロポロが登場。
「家まで持ってけ!」とイケメン丸出しで爽やかに子供に声をかけたのに「お前は荷物車に運んどけ」とモンタナにパシらされるガロポロが不憫で萌える。
ヤングに「(ガロポロに)チップでもあげたらどうですか?」って言われたモンタナが「せやな、アドバイス(TIP)でもしたるか」とか返したりしててナメられすぎでは?と思いました。というかスーパーボウルで負けんようにちゃんとアドバイスしたれや。
こちらはカロライナ・パンサーズのランニングバック、クリスチャン・マカフリー。現代では珍しい白人のランニングバックながらいっときMVP候補にも上がる活躍で孤軍奮闘した男前です。
ここでハイタッチをしているのはプロスケートボーダーのナイジャ・ヒューストン。世界一稼いでいるスケートボーダーらしい。
練習を邪魔されたのはニューイングランド・ペイトリオッツのワイドレシーバー、ジュリアン・エデルマン。去年のスーパーボウルMVPですが、今年はプレイオフ初戦でタイタンズに負けた結果、ビバリーヒルズでハシャギすぎて逮捕されました。アホでは。
ナイスキック!と褒められているのは、女子サッカーアメリカ代表のカーリー・ロイド。ちょくちょくフットボール選手じゃない人出てきますね。
ガキが…舐めてると潰すぞみたいな顔してるのは、ダラス・カウボーイズの名物オーナーことジェリー・ジョーンズ。日本でいうとナベツネみたいな球界のドンかつ老害代表的なイメージだけど、こういう役回りで出てこれるあたり世渡りうまいなあと思う。車内にアヴェマリア流れてるのがウケる。
次はニューオリンズ。名物フェスティバルのマルディグラのパレードに紛れ込みます。
まずボールを受けるのはニューオリンズ・セインツのランニングバック、アルヴィン・カマラ。いいセンスのジャケット着てんなあ。
その後ボールを受けるのは歴代タッチダウン数1位のレジェンド、同じくセインツの現役クオーターバックであるドリュー・ブリーズ。もっぺんSB勝つとこ見たい。
唐突な静寂とともに現れる銅像はグレンデールのステイトファームスタジアム前にあるパット・ティルマンのもの。アリゾナ・カーディナルスでセイフティとしてプレイしていたティルマンは、同時多発テロをきっかけに陸軍に入隊し、アフガニスタンで味方の誤射により命を落としたアメリカ人にとっての悲劇のヒーロー的な人物です。こういうところに目配せするあたりNFLって感じがする。
そして舞台はニューヨークへ。ウェルカムトゥザシティとか言ってるのはニューヨーク・ジャイアンツのエースランニングバックであるセイクオン・バークレー。まだ22歳だけどプレイがスペクタクルすぎて非常に好みの選手です。
野獣の眼光は元ジャイアンツで過去二度スーパーボウルを勝利したディフェンシブエンドのジャスティン・タック。
通行人を吹っ飛ばして雄叫び上げるやべえ奴は元レイブンズでスーパーボウルMVPも受賞したラインバッカーのレイ・ルイス。ガタイいいとフォーマルな装いも似合ってセコいっすね。
無言で写真撮りまくってるのはレイブンズで現役ランニングバックのマーク・イングラムらしい。
そしてついにスーパーボウル会場であるマイアミのハードロックスタジアムにたどり着く。
フィールドに向かう花道に並んでいるのはNFL殿堂入りプレイヤー。赤いジャケットは殿堂入りの証です。さすがにどれが誰か全然わからん。
バンチーからボールを受け取るのは、トム・ブレイディとともに現代最高のクオーターバックとして評された元インディアナポリス・コルツ/デンバー・ブロンコスのペイトン・マニング。
何せなあかんかわかってんな?とボールを渡すおばあちゃんはシカゴ・ベアーズのオーナーであるヴァージニア・ハラス・マカスキー。ベアーズはNFLとともに今年100周年を迎えるオリジナルチームですが、彼女の父親のジョージ・ハラスはNFLの創設に大きな影響を及ぼしたレジェンドかつ前オーナーで、現在のベアーズのユニフォームの袖口には彼のイニシャルGSHが記されています。
最後にショータイムだと呟くのは元ピッツバーグ・スティーラーズで黄金時代を築いたディフェンシブタックルのジョー・グリーン。
こうやってたくさんの元/現役プレイヤーをカメオ出演させるのは、現在に至る歴史へのリスペクトを感じさせるのはもちろん、自分みたいなオタクの好奇心を刺激する意図も感じて、本当に作りがうまいなと思います。試合数増やして中立地での開催も増えるみたいな計画があるらしいし日本でもやってくれないかなあ。